【カテゴリ別分類表付き!】樹脂(プラスチック)の分類をわかりやすく解説

2021年08月17日(火)
2021年08月30日(月)

樹脂の2つの分類

樹脂(プラスチック)と一口に言ってもさまざまな種類のものがあります。大きく分けて「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」の2種類があり、さらにその中でもさまざまな分類があります。樹脂を製品や部品の材料として使う際にはそれぞれの性質を把握しておくことが重要です。

今回は樹脂の分類と特徴についてご紹介します。特に樹脂素材をはじめて検討されている方、選定されている方は今回解説する樹脂のそれぞれの特性を押さえていただけると幸いです。

熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂の違いを解説

熱可塑性樹脂」は熱を加えると溶けて柔らかくなり(溶解)、冷えると固まる(固化)性質をもつ樹脂のことを指します。溶解したときに成形して冷やすことで製品を形作ることができます。「熱硬化性樹脂」は成形後に再度熱を加えても溶解しない樹脂を指します。

熱可塑性樹脂は熱を加えたら溶けて冷やしたら固まるチョコレート、熱硬化性樹脂は熱を加えても溶けないクッキーをイメージするとわかりやすいかと思います。

熱可塑性樹脂は安価で生産できる、量産にも対応できる、加工がしやすい、リサイクルがしやすいといったメリットがあります。一方、熱硬化性樹脂は曲げや歪曲などの加工がしやすいこと、耐熱性に優れているという利点があります。

 

樹脂の分類表

熱可塑性樹脂はさらに「汎用性樹脂(結晶性・非結晶性)」「エンジニアリング樹脂」「スーパーエンジニアリング樹脂(結晶性・非結晶性)」に分類されます。熱硬化性樹脂は分類こそありませんが、その中でもさまざまな種類のものがあります。

わかりやすいよう一覧表でまとめました。熱可塑性樹脂のそれぞれの分類の特徴については後述します。

熱可塑性樹脂 熱硬化性樹脂
汎用樹脂 エンジニアリング樹脂 スーパエンジニアリング樹脂
結晶性 非結晶性 結晶性 非結晶性
ポロプロピレン PP
ポリエチレン PE
ポリスチレン PS
アクリニトリル・ブタジレン・スチレン樹脂 ABS
メタクリル樹脂 PMMA
塩化ビニル樹脂 PVC
ポリアミド(ナイロン) PA
ポリアセタール POM
ポリカーボネート PC
ポリフェニレンエーテル PPE(変性PPO)
ポリブチレンテレフタレート PBT
超高分子量ポリエチレン U-PE
ポリフッ化ビニリデン PVDF
ポニフェニレンサルファイド PPS
ポリエーテルエーテルケトン PEEK
液晶ポリマー LCP
ポリテトラ PTFE
ポリエーテルイミド PEI
ポリアリレート PAR
ポリサルフォン PSF
ポリエーテルサルフォン PES
ポリアミドイミド PAI
フェノール樹脂(ベークライト) PF
ユリア樹脂 UF
メラミン樹脂 MF
不飽和ポリエステル UP
エポキシ樹脂 EP
シリコン樹脂 SI
ポリウレタン PUR

※横にスクロールできます。

汎用樹脂(汎用プラスチック)

汎用プラスチックは変形温度が比較的低い樹脂です。成形がしやすく、低コストで加工できるため、その名の通り幅広い用途に使われています。ポリエチレンやABS、塩化ビニルなど、一般的によく耳にする樹脂素材が含まれています。

また、「結晶性」は温度が低下するにつれて分子運動が徐々に収まり、「結晶化温度」以下になると分子が規則的に並ぶ「結晶部分」が形成されます。「非結晶性」は一定の温度以下になると分子同士が絡み合って固化する性質があり、結晶部分は発生しません。

結晶性樹脂は透明度や接着性は低いですが、耐薬品性に優れているのがメリット。非結晶性は逆に耐薬品性は弱いですが、透明度や接着性は高いといった特色があります。

エンジニアリング樹脂(エンジニアリングプラスチック)

エンジニアリング樹脂は汎用樹脂よりも変形温度が高い樹脂のことを指します。略して「エンプラ」とも呼ばれます。耐熱性や耐久性、機械的強度に優れているのが特徴です。厳密な定義はありませんが、一般的に100℃以上の環境下に長時間置いても49MPa以上の引っ張り強度と2.5GPa以上の曲げ弾性率を維持するものをエンジニアリング樹脂と呼びます。また、逆に低温環境であっても汎用樹脂と比較して耐久性が高いとされています。

過酷な環境下でも一定の強度を保つことができるので、その名の通り工業製品の部品や歯車、軸受など、さまざまな場所で使われています。

スーパーエンジニアリング樹脂(スーパーエンプラ)

エンジニアリング樹脂よりも更に耐熱性や耐久性、機械的強度が高い樹脂のことを指します。こちらも厳密な定義はありませんが、150℃以上もの高温に耐えられるものをスーパーエンジニアリング樹脂と呼んでいます。

汎用樹脂やエンジニアリング樹脂よりも高価になりますが、強度も高く軽量なため、過酷な環境下で使われる部品やパーツの材料、金属部品の代替品として使われます。

スーパーエンジニアリング樹脂に関しても「結晶性」と「非結晶性」の2種類に分類され、汎用樹脂の項目で解説したような性質があります。

(豆知識)そもそも樹脂ってどうできるの?

樹脂(プラスチック)の原料は石油です。原油から「ナフサ」と呼ばれる石油を生成し、エチレン・プロピレン、ベンゼンなどを加えます。さらにこれに添加剤や着色料を加えることで、プラスチックの材料となる「ペレット」が出来上がります。ペレットは非常に細かい粒のような形状をしていて、これに熱を加えれば樹脂を成形することができます。また、リサイクルの場合は古いペットボトルや廃プラスチックからペレットを作ります。

樹脂の成形方法はさまざまです。加熱した樹脂材料を金型内に注入して固化させる「射出成形」や、熱で柔らかくした樹脂材料を口金から押し出して空気中や水中で冷却する「押出成形」は多くのプラスチック製品で採用されている成形方法です。特に小さい部品類は射出成形か押出成形のいずれかで成形されます。

筒状の樹脂を金型に流し込み、空気の力で膨らませる「ブロー成形」はペットボトルやシャンプー・リンスなどの容器を造るのに適しています。

樹脂の成形方法はさまざまですが、基本的に樹脂材料を熱して溶解させ成形し、その後に冷却するという流れは変わりません。

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