金属加工を外注に依頼する際にはさまざまな注意点があります。外注先を間違えると意図した物が納品されない、納期が守られないなどのトラブルが発生するリスクも。今回はさまざまな企業様に部品・パーツ、ねじなどの金属加工品を納入しているプロの視点から、外注企業に加工を依頼する際のポイントや注意点を解説します。
依頼する会社の目利き
金属加工を外注する際にまず気をつけたいのが依頼先の選定です。図面通りの物を造ってくれる、納期通りに納品してくれる、費用が適正であるといったことはもちろん大切ですが、それ以外にもさまざまなことを考慮して選ばなければいけません。以下のようなポイントを意識して業者を目利きしましょう。
提案力が重要
まずは依頼先の企業がどれくらい提案してくれるか?を見極めましょう。ただ図面通りの物を造って納品するという業者も少なくありません。スポットで依頼するのであればそれでも問題ないかもしれませんが、長期的に発注するなら後々のことも考慮して選ぶほうがベターです。
より製品の性能や品質が高くなるような提案をしてくれる、量産品など発注が長期に渡る場合は製造コストも考慮した提案をしてくれるといったことが非常に大切です。こうした業者に外注することで、製品の高品質化やコストダウンを実現できる、納期にも柔軟に対応してくれるというメリットが享受できます。
依頼会社の長所・短所
機械加工をメインで行っている、塑性加工の品質が高い、特注に対応できる、量産設備を保有しているなど、会社によって得意不得意があります。依頼する前にその会社の長所と短所をしっかりと調査しておきましょう。
打ち合わせをした結果「できません」となったら時間の無駄になってしまい、お互いにマイナスです。業者選びを一からやり直さなければいけません。また、仕様変更や数量変更が発生したときに、その業者が対応できないとなると、やはり再度依頼先を探す必要があります。依頼先が「何ができるか?」「何ができないか?」を把握し、近い将来の展望も考慮して検討する必要があります。
発注先企業の経営的な将来性
発注先の企業が倒産・廃業してしまうと、部品・パーツが供給されなくなってしまうため、生産がストップするリスクが非常に高いです。経営状況が健全であるかどうかも重要な指標と言えます。
また、近年では跡継ぎがいないために廃業している企業も少なくありません。いわゆる町工場と呼ばれる小規模な事業者は特にそれが顕著です。スポットで依頼するなら良いのですが、長期発注を前提としているなら将来性も考慮して発注先企業を選ぶようにしましょう。
基本的な依頼の流れ
以上の3点を意識することで、長期的に良質な加工品を適正価格で供給してくれる依頼先が見つかる確率が格段に高くなります。良い業者に巡り合うことができれば、製品の付加価値アップや経費削減が実現でき、業績向上につながる可能性も大いにあります。ぜひ、多少時間がかかってでも業者選びは入念に行いましょう。
発注先企業の目星がついたらいよいよ依頼に向けて具体的に動き出します。発注までの流れはおおよそ以下のとおりです。それぞれどのようなことをするのか?何に注意すべきか?解説します。
まずは問合せをする
電話や問い合わせフォーム、メールなどで発注先企業に問い合わせをします。「何を、いつまでに、どれだけ欲しいか?」を明確に伝えましょう。その場で回答がもらえる場合もあれば、折返しになるケースもあります。また、打ち合わせが必要ということであれば日程の調整も行います。
問い合わせをしなければ何もはじまりません。また、実際に話を聞いてみてはじめてわかることもあります。「まだ発注すると決まったわけではないのに電話をかけたら迷惑するかも」と気がひけるかもしれませんが、仕事を請ける側の立場からすると問い合わせがあることはありがたいことです。気になる会社がありましたら積極的に問い合わせをしましょう。
打ち合わせ
営業担当と打ち合わせを行います。お互いの自己紹介や会社の説明からはじまり、設備・工場見学を行い(会社によります)、発注内容や要望のヒアリングをして対応可否を判断し、可能であれば仕様や納期などを詰めていきます。この際に図面が必要になるかもしれません。スムーズに話が進む可能性もあるため、なるべく図面を用意されることをおすすめします。
この打ち合わせの中で前章のポイント、つまり提案力や得意・不得意、将来性を見極めることができます。気になることがあれば遠慮なく質問してみましょう。この段階ではまだ契約が成立していないので、「合わないな」「ちょっと怪しそう」と思ったら断ることも可能です。
お見積り
打ち合わせの内容に基づいて営業担当者が納期や金額を算出し、見積もりを出してくれます。内容を確認し、不明点があれば担当者に尋ねてみましょう。場合によってはここからさらに細かく仕様や納期を詰め、詳細な見積もりを出すケースもあります。
見積もりあるいは打ち合わせの段階で判断ミスをすると意図したものと違った物が納入されてしまう、納期通りに納品されないといったトラブルが発生するリスクもあります。発注までなら変更が利きますので、詳細までしっかり確認して進めましょう。
発注
見積もりの内容に納得したらいよいよ発注です。基本的に発注後は仕様や納期の大幅な変更が不可能となりますのでご注意ください。発注書を提出したら発注先の会社で生産がはじまります。設計、製造、検査、梱包という流れを経て品物が納品されます。依頼者側で納品物が仕様どおりになっているか?品質に問題がないか?を確認し、一連の流れが完結します。
様々な金属加工の種類
一口に金属加工と言ってもさまざまな種類があり、主に「機械加工」「塑性加工」「鋳造加工」の3つに大分されます。
機械加工は工作機械によって金属を切断したり削ったり穴を開けたりする加工で、さらに「切削加工」「研削加工」「特殊加工」に分けられます。
塑性加工は力を加えることで金属を成形する加工で、プレス加工や鍛造、転造などが代表例です。
鋳造は熱を加えて溶かした金属を鋳型の中に流し込んだ後に冷やして形作る加工方法で、砂型鋳造やダイカストがあります。
すべての加工ができる会社もあれば、機械加工のみ、塑性加工のみという会社もあり、千差万別です。また、鋳造の技術は高いけど、機械加工はできることが限られているというように、得意不得意もあります。「どんな加工ができるか?」によって「何が造れるのか?」も変わってきます。業者を選ぶ際には対応できる加工についても把握しておきましょう。
【要注意】下請法を知っておこう!
金属加工を外部の会社に依頼する場合は「下請法」を遵守しなければなりません。ビジネスの場では、どうしてもお金を支払う顧客よりもお金を受け取る下請け業者のほうが弱い立場になります。下請法は下請けをしている企業(個人も含む)の権利を守るために制定された法律であり、これに違反すると刑事罰に処せられることもあります。
対象となるのは「親事業者の資本金が3億円以上で、下請け事業者の資本金が1千万円以上3億円以下」もしくは「親事業者の資本金が1千万円以上3億円以下で、下請け事業者の資本金が1千万円以下」というケースです。
上記に該当する場合、発注書面を交付する、取引に関わる書類を作成・保存する、支払期日を定める、延滞利息を支払うといった義務が生じます。また、製品の受領拒否、代金の減額、返品(下請け業者に責任がない場合)、買いたたき、不当な給付内容の変更ややり直しの指示などの行為が禁止されます。
盲点になりやすい部分ですが、残念ながら知らなかったでは済まされない点となりますので発注する前には下請法もしっかりと把握しておきましょう。
「こんなことでもできる?」お気軽にご相談ください。
依頼先が良いものを提案・納品してくれれば貴社の業績もアップするかもしれません。逆に意図したものを造ってくれない、倒産してしまったとなると、大きなダメージを被ることになります。金属加工や部品・パーツやネジなどの製造を外部に依頼するということは、自社の命運を託すことと同じです。今回解説したポイントを意識して慎重に依頼先を選びましょう。
金属加工の外注化、部品・パーツやねじの製造なら、株式会社フカサワにお任せください。ただ言われたものを造るだけでなく、お客様の生産性の向上、製品の付加価値アップ、コストダウンなどを考慮したご提案が可能です。創業から80年経過し、安定的な経営を継続してきたのも強みです。特注品の対応も可能なので、「こんなこともできる?」「こんな部品がほしいんだけど」といったご相談もお気軽にご連絡ください。