金属加工を依頼する際には加工業者を探し、要望(形状や仕様、素材、加工方法、納期など)を打ち合わせした上で見積もりをするという流れがあります。一社あるいは複数社見積もりを取って、納期や金額、品質などを総合的に判断した上で加工を依頼するのが一般的ですが、ここで失敗すると品質が悪い加工品が納入される、納期がかかる、費用が割高になってしまうなど、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
今回は金属加工の見積もりを取るポイントについて解説します。しっかりと見積書をチェックして賢く加工業者を選びましょう。
会社によって見積もりが違うのはなんで?
見積もりの金額は人件費や材料費など、さまざまな要素によって決まります。金属加工に関わらず、複数社で見積もりを取った際に「この会社だけなぜか異常に高い」「ここだけものすごくお値打ちにやってくれる」と思った経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
どの会社においても見積もりの基本的な考え方は共通しています。複数社に見積り依頼を出した場合、概ね同じような金額で返答が来るはずです。とはいえ、見積もり金額の算出のしかたやルールは会社によって微妙に異なります。また、材料の仕入れ金額や使用する設備などの事情が関係していることもあります。このような違いが見積り金額の差に現れているのです。とりわけ特注品の場合は会社によって工程が異なる場合があるため、見積もり金額に開きが出るケースがあります。
見積もり方の基本
見積り金額には「材料費」「加工費」「熱処理・表面処理費用」という3つの費用が含まれています。材料費や熱処理・表面処理は各社でそれほど大きな差はありません。同じ材料が会社によって何十倍、何百倍と違うことはまずありえないことです。熱処理や表面処理についても業者によって大差があるわけではありません。
大きな差が生じる部分は加工費です。加工費は加工チャージ(人件費や減価償却費を含めた料金)と加工工数によって決まります。会社によって人件費や加工に用いる設備、工数が異なり、加工チャージの算出方法や見積もりのしかたも違うため、ここで大きな開きが出るのです。
従って、加工費が安い=加工チャージが安く、工数がかからない業者を選ぶほど、見積もり金額が安くなると言えます。
【豆知識】見積もりはどの段階でわかる?
冒頭でも解説したとおり、見積もりを出してもらうためにはまず打ち合わせで仕様や形状、加工方法などの詳細を業者に伝える必要があります。営業担当はこの情報をもとに、材料費や加工費、熱処理・表面処理費用などを算出して見積もりを作成します。
既製品や過去に製作実績があるものであればすぐに見積もりを出すことが可能です。打ち合わせの場でざっくりとした費用感を教えてくれる場合もあります。一方で特注品であれば社内の製造部門や技術部門、設計部門、あるいは外注業者や仕入先に問い合わせをしながら費用を算出しなければならないケースもあります。そうなると見積もりが出るまでにある程度の期間(数日~1週間程度)がかかります。問い合わせ先がすぐに返答できないケースあるいは混雑している場合はもっと時間がかかるかもしれません。
加工費が安い会社を使えばいい?
金属加工の業者を選ぶ際には極力複数社から見積もりを取って比較されることをおすすめします。そうすることで相場観がわかり、その会社が高いのか?安いのか?を判断することができるようになります。
費用は安いに越したことはありませんが、だからといって一概に加工費が安い会社が良いとは言い切れません。値段だけ見て業者を選ぶと、いわゆる「安物買いの銭失い」になってしまうリスクもあります。
安いのには安い理由が、高いのには高いだけの理由があるのです。その具体例を以下にいくつか挙げます。
他の加工が高い場合
前述のとおり、見積もりの金額を大きく左右するのが加工費です。たとえば、A社ではある工程が含まれていて、B社にはそれがない場合、A社のほうが見積り金額は高くなる可能性があります。その工程が必要な場合、金額が高くてもA社に依頼をするか、B社に工程を含めた金額を見積もってもらうべきです。必要ない場合は省略されているB社に依頼するか、A社に工程を省いた上での見積もりを依頼したほうがいいでしょう。
また単純に加工機による得手不得手がコストに影響してくることもしばしばあります。
見積り金額で気になったら「どんな工程が含まれているか?」「どの工程で費用がかかるのか?」を担当者に確認することが大切です。
品質に問題がある
高価なものが良いもの、安価なものが悪いものとは言い切れませんが、品質と費用はある程度関連性があるのも事実です。必要な工程や検査を省略している(手抜きしている)から安い、技術力や納期に自信がないから料金を低めに設定している、あるいは品質が低くて仕事がないから安い値段で受注しようとしているといった事情が背景にあって、見積り金額が他社よりも安いということも考えられます。
安いからといってこうした業者に依頼すると、要望通りの物が納品されない、納期が遅れるといったトラブルが発生し、「安物買いの銭失い」になってしまいます。
品質を落とさず、見積もりを抑える
見積もりを依頼する際に大切なのは「提案」です。必要な品質を担保してコストダウンする方法はさまざまあります。たとえば価格が安くても同等の性質がある材料を使う、手抜きではない加工手段の見直しと採用、求める製造物に差し支えない範囲で仕様や形状を変更するなど、工夫次第で加工費を抑えることができます。
しかしこれらの提案を考えて行うためには経験と知識、提案力が必要です。仮にそうした業者を見つけられれば、要求通りの品物が納期までに納められ、コストダウンを図ることができます。
打ち合わせの段階あるいは見積もりの段階で、担当者がいかに提案してくれるか?質問や要望に対して真摯に応えてくれるか?をみきわめましょう。
コスト減+高品質をご希望の方はご相談ください
金属加工を外部に依頼する場合はまず複数の業者から見積を取って比較しましょう。見積書を見比べることで費用感がわかり、その業者が高いのか?安いのか?が判断できます。
ただし、費用も大切ですが、それ以上に重要なのは提案です。安くても納品物の品質が低ければ意味がありません。逆に見積もり金額が高い業者であっても、担当者がコストダウンを提案してくれ、結果として割安に加工を依頼できる可能性もあります。
株式会社フカサワは80年前に創業して以来、ねじ・部品の総合商社として数多くのお客様のご要望にお応えしてまいりました。弊社の武器は長年の経験から培われた技術力、提案力、対応力です。「コストダウンをしたい」「品質を向上させたい」といったお客様のご要望に応じて、会社を挙げてベストなご提案をいたします。もちろん金属加工についてもお任せいただけます。素材選定から加工方法のご提案、設計、生産、検査、納品までワンストップで対応。製品の高品質化、コストダウン、生産性の向上といった経営課題の改善に貢献します。
金属加工でお困りごとがございましたら、株式会社フカサワにご相談ください。
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