レジンという物質名を聞いたことがありますか?身の回りにあるようなプラスチックや樹脂と思われる素材のことをレジンと呼ぶケースもあれば、レジンと呼ばれる液体も存在しますので、混乱されている方もいらっしゃるかもしれません。いったいレジンとはどのようなものなのでしょうか?プラスチックや樹脂との違いは?
今回はレジンとはなにか?という基礎知識から、プラスチック・樹脂との違い、レジンの種類、成形方法についてご紹介します。
レジンとは?
レジン(Resin)とは「樹脂」を意味する英単語であり、日本国内においても樹脂のことをレジンと呼ぶケースがあります。樹脂とは植物の脂や動物の分泌物を固めた天然樹脂と、石油などの化石燃料から生成される合成樹脂の総称で、レジンもこれらの素材を指します。ただし、樹脂という呼称のほうが一般的であり、レジンという呼び方はあまり耳にするケースはないかもしれません。
アクセサリーや小物などを手作りするハンドメイドの世界ではレジンという呼び名が浸透しており、やはり上記でご説明した樹脂、特に透明性が高いものや光沢があって輝くものを指すケースが多いようです。
プラスチック・樹脂との違い
レジンも樹脂もプラスチックも、基本的には同じものを指します。JISでは原料の状態を樹脂、樹脂から造り出した製品、とりわけ合成樹脂製の成形品がプラスチックと定義されています。したがって、樹脂を意味するレジンは樹脂素材のことを指すと考えるのが自然といえます。
ただし、プラスチック製品のことを「樹脂」や「レジン」と呼ぶ人もいれば、素材の状態の樹脂を「プラスチック」や「レジン」と呼ぶ人もいます。JISでは言葉の定義がされているものの、樹脂やプラスチック、レジンの区別が曖昧になっていることも多いようです。ちなみに天然樹脂から成形されたものはプラスチックとは言いません。
様々な種類のレジン
レジンにはさまざまな種類のものがあり、それぞれ特性が異なります。ここからはレジンの主な種類についてご紹介します。なお、わかりやすいように、樹脂の場合の呼び方もカッコ内に記しました。「●●レジン=●●樹脂」と理解しておくと、聞き慣れない素材名でも特定しやすくなりますので、ぜひ参考にしてください。
ナチュラルレジン/Natural Resin(天然樹脂)
先ほどもご説明したとおり、植物の脂や動物の分泌物を固めたものです。代表的なものとして松脂や漆、天然ゴム、琥珀、べっこうなどが挙げられます。「樹脂」は本来このナチュラルレジン(天然樹脂)を指す言葉です。
セティックレジン/Synthetic Resin(合成樹脂)
石油などの化石燃料から合成される素材です。ポリスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ウレタンなどが挙げられます。普段私たちが「樹脂」あるいは「プラスチック」と呼んでいる素材は、このセティックレジン(合成樹脂)のことを指します。
エポキシレジン/エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂)
熱を加えると固まる性質をもつセティックレジン(合成樹脂)のことを指します。生地に熱を加えると固くなるクッキーをイメージするとわかりやすいかもしれません。高温に耐えられる、接着性が高い、電気絶縁性や機械的強度に優れるといった特徴があります。
UVレジン(紫外線硬化樹脂)
液体状になっており、その名の通りUV(紫外線)に反応して固くなるレジンのことを指します。特にアクセサリーのハンドメイドの素材として使われることが多く、UVライトを照射して固化させます。硬度が高く傷がつきにくい、発色がきれいといった特徴があります。
レジンキャスト/レジンキャスティング
液体状のウレタンやエポキシ、不飽和性ポリエステルなどを熱して柔らかくし金型に流し込んで冷却固化させたものです。複雑な形状にも成形できる、試作品の製作や少量生産に向いているなどの特徴があります。
レジン液
液体状になったレジンのことで、硬化剤を混ぜ合わせることで固化します。先ほどご紹介したレジンキャスト/レジンキャスティングの素材もこれにあたります。また、UVレジンも液体状になっているため、レジン液と呼ばれることがあります。
レジンの成形方法
先ほどもご説明したとおり、レジンは樹脂と同義です。そのため、成形についても樹脂と同じ方法で行います。レジンの成形方法としては大きく分けて「成形加工」「切削加工」という2種類があり、さらに成形加工には「射出成形」「押出成形」「ブロー成形」という手法があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
成形加工
成形加工とは柔らかくなったレジン(樹脂)の素材を型に流し込む加工法です。その後固化させることで、型どおりの形状になります。生地を型に流し込んで焼き上げるたい焼きや今川焼きをイメージするとわかりやすいです。成形加工について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
射出成形
加熱して柔らかくなった樹脂を金型の中に流し込む成形加工法です。樹脂素材に圧力をかけながら金型の中に注入し、固化した後に金型を取り外します。大量生産に向いている加工方法で、特に小型のプラスチック製品はこの射出成形で生産されるケースが多いです。また、複雑形状の成形も可能で、一度金型を造れば同じプラスチック製品を継続して生産することができます。一方で金型を造るコストや時間がかかるのがデメリットです。
押出成形
その名のとおり樹脂を押し出して成形する加工方法です。加熱して柔らかくなった樹脂を口金に押し出します。たとえば口金の形状が「コ」の字型であれば、「コ」の字型の断面形状の樹脂がところてんのように押し出されます。押し出された樹脂は冷却され、切断機で指定したサイズに切断します。断面形状が同じ製品を低コストかつスピーディーに大量生産できる、長尺物を成形しやすいというメリットがあります。一方で複雑形状の成形には対応が難しいです。
ブロー成形
ブロー成形とはボトルや容器など内部が空洞になっている製品を成形する加工方法です。樹脂を加熱して押し出すところまでは射出成形と同じです。金型に流し込んだあとは空気を送り込み風船のようにふくらませることで、空洞になっている製品を成形できます。金型がシンプルなため比較的生産コストが抑えられる、容器やボトルなどの大量生産に向いているといったメリットがあります。一方で、複雑形状の成形には向いていない、肉厚のコントロールが難しく不良が出やすいというのがデメリットです。
切削加工
切削加工とは刃物やドリルで素材を切ったり削ったり穴を開けたりして製品を形作る加工方法です。旋盤やフライス盤、マシニングセンタなどの工作機械を用います。複雑形状にも対応できる、表面を高精度に仕上げられるといったメリットがある一方で、材料ロスが大きい、大量生産には向いていないといったデメリットもあります。切削加工については以下の記事でより詳しくご説明していますので、ぜひご覧ください。
レジン(樹脂)の成形についてご相談承ります
レジンは樹脂と同じものであり、同じ方法で成形することができます。今回ご紹介したように加工方法はさまざまあり、造りたい製品の形状や数量、コストなど、総合的に判断して撰択しなければなりません。また、そもそもレジンは非常に多くの種類があり特性もそれぞれ異なるため、素材の選定も非常に重要となってきます。
レジンの成形なら株式会社フカサワにお任せください。弊社は樹脂・金属加工のプロフェッショナルです。創業から80年間で培われた対応力とノウハウで、素材の選定から加工、納品まで一貫して対応いたします。軽量化、高品質化、生産性の向上、コスト削減など、課題を解決できるご提案をご用意します。
「こんなものが造りたいんだけど」「図面はないけど」といった相談も大歓迎です。最寄りの支店もしくは本社にお気軽にご連絡ください。
«前へ「ポリカーボネート(PC)の成形方法から特性まで網羅解説!」 | 「シリコン樹脂加工の基礎知識|製品の種類やシリコン素材の特徴を解説」次へ»