エポキシ樹脂加工&ガラエポ加工について網羅的に解説

2024年04月05日(金)
2024年04月05日(金)

非常に軽量で製品や部品の素材として幅広く使われている樹脂。その中にエポキシ樹脂やさらに性能を高めたガラスエポキシ(ガラエポ、GFRP)という素材があります。

この記事では樹脂素材を選定されている方、樹脂加工の外注先を探されている方のために、エポキシ樹脂、ガラスエポキシの特徴や加工方法について解説します。

今さら聞けないエポキシ樹脂とは?

今さら聞けないエポキシ樹脂とは? エポキシ樹脂は分子内にエポキシ基をもつ樹脂のことを指し、加熱すると固くなる熱硬化性樹脂の一種です。1938年にスイスのピエール博士によって原料となるビスフェノールAが発見され、スイスのチバ社が1948年に工業化に成功。日本でも1960年くらいから生産が開始されました。
一般的な樹脂と比較して耐熱性や耐薬品性、電気絶縁性、接着性などの性質が高いという特徴があります。部品などの成形品の素材として使われるほか、前述した性質があることから樹脂塗料やコーティング材、接着剤の原料にする、電気絶縁体として使用する、ガラスエポキシに加工した上で成形品にする、その他コンポジットの材料にするなど、さまざまな用途で使われています。

エポキシ樹脂を使ったガラスエポキシ(ガラエポ/GFRP)とは?切削や抜き加工などが可能で用途豊富な素材!

ガラスエポキシとはガラス繊維でできた布にエポキシ樹脂を含侵させた成形品です。布にエポキシ樹脂を染み込ませ、それを何層にも重ねた上で、熱を加えて硬化させます。略して「ガラエポ」や、英語の頭文字を取って「GFRP」と呼ばれることもあります。エポキシ樹脂の特徴に加えて強度が高い、長寿命であるといった特性があります

エポキシ樹脂は塗料や接着剤などの原料に使われることも多いのですが、ガラスエポキシは部品の材料として使われます。代表的な用途は回路基板です。電気を絶縁する性質が非常に高く、耐久性にも優れているため、電子基板の材料としてはうってつけです。他にも航空宇宙、自動車、電気、船舶など幅広い分野でガラスエポキシが使われています。

エポキシ樹脂及びガラスエポキシ(ガラエポ)の9つの特徴素材特性を分かりやすく解説

エポキシ樹脂及びガラスエポキシ(ガラエポ)の9つの特徴|素材特性を分かりやすく解説以上でエポキシ樹脂およびガラスエポキシについて大まかにご説明しました。ここからは両者の特性について詳しく見ていきましょう。他の樹脂と比較して以下のような特徴があります。

1.電気絶縁性【エポキシ樹脂全般の特徴】

エポキシ樹脂やガラスエポキシは電気を通しにくい性質があります。体積抵抗率は1012~1017Ω・cmで、電流を外部に伝えない、あるいは外部からの電流をシャットアウトすることができるため、前述のとおり電子基板や電子部品の材料、絶縁体として用いられます。

2.耐熱性【エポキシ樹脂全般の特徴】

樹脂は高温になると燃えてしまったり溶けて変形してしまったりします。150℃以上の高温に耐えられる樹脂をハイパーエンジニアプラスチックと呼び、エポキシ樹脂もこれにあたります。耐熱温度は200℃で、種類によっては300℃程度の熱にも耐えることができます。そのため高温になる場所での使用にも適しています。

3.耐薬品性【エポキシ樹脂全般の特徴】

薬剤に強いのもエポキシ樹脂の大きな特徴です。一般的な溶剤(アセトン、エタノールなど)、酸(希釈されたもの)、アルカリなどが付着しても劣化や変形がしにくいです。ただし、強酸(硫酸、塩酸など)、強アルカリ(水酸化ナトリウムなど)、シンナーなどの特定の有機溶剤、その他特定の有機化合物や溶媒には耐えられない場合があります。

4.耐水性・耐湿性【エポキシ樹脂全般の特徴】

一般的な樹脂は長期間水や湿気に晒されると加水分解が起こってひび割れやベタつきが発生します。エポキシ樹脂は水分子を通さない性質があるため加水分解が起こりにくく、他の樹脂素材と比較して水や湿気による劣化が起こりにくいです。また、耐候性も高く、紫外線などによる劣化も少ないです。

5.耐食性と耐候性【エポキシ樹脂全般の特徴】

腐食とは錆のことです。金属は錆びることで脆くなってしまいますが、樹脂は腐食しません。特にエポキシ樹脂は酸素を通さない性質があるので、強い耐腐食性を発揮します。そのため、コーティング剤や塗料にもよく使われるのです。

6.接着性が高い【エポキシ樹脂全般の特徴】

エポキシ樹脂は科学的な結合が非常に強力であるため接着力が高いです。樹脂同士はもちろん、金属、ガラス、木材など、ありとあらゆる素材を強固に接着します。そのため、接着剤の材料としても非常に有用です。

7.難燃性【ガラエポの特徴】

エポキシ樹脂は耐熱性に加えて難燃性、つまり燃えにくい性質も持ち合わせています。ガラスエポキシに至っては、ガラス繊維自体に非常に高い難燃性があるため、エポキシ樹脂と組み合わせるとさらに難燃性を強化することが可能です

8.強度が高い【ガラエポの特徴】

前述のとおり、エポキシ樹脂は科学的な結合が非常に強いため、引張強度や圧縮強度、曲げ強度などが非常に高く、一般的な樹脂と比較しても強い力や衝撃に耐えやすいです。ガラス繊維に関しても非常に強度が高く、接着力が強いエポキシ樹脂と組み合わせることで、さらにその性質を強化することが可能です。

9.長寿命【ガラエポの特徴】

エポキシ樹脂やそれを使ったガラスエポキシは前述のとおり耐熱性や耐薬品性、耐水性、耐候性が非常に高く、劣化や変形、破損がしにくいため、寿命も長いです。また、ガラス繊維も通常の布より強度や耐久性が高く、エポキシ樹脂と組み合わせることでさらに長寿命化を実現できます。

エポキシ樹脂加工&ガラエポ加工の工法紹介

エポキシ樹脂加工&ガラエポ加工の工法紹介以上でエポキシ樹脂とガラスエポキシの特徴についてご紹介しました。非常に機械的な性質が高く、さまざまな用途で使われます。ここからは樹脂の加工方法について見ていきましょう。

成形加工|射出成形・押出成形・ブロー成形

主な成形加工
押出成形 柔らかくなった樹脂材料を口金(ダイス)から押し出します。口金の形状になって押し出された樹脂は冷却水槽で固化させ、切断機で切断することで製品を形作ります。同じ形状の製品を大量に生産することができ、特に小さな樹脂部品はほとんどこの方法で成形されます
射出成形 加熱して柔らかくなった樹脂を金型内に射出注入し、その後冷却固化させる成形技術です。樹脂の加工方法としては一般的なもので、 押出成形よりも複雑な形状を成形できる、金型さえ製作すれば何度でも成形が可能であるといったメリットがあります。
ブロー成形 柔らかくなった樹脂を押し出すという点では射出成形と共通しています。ブロー成形の場合は金型が筒状になっており、空気を吹き込んで樹脂を膨らませます。シャンプーのボトルなど、樹脂製の容器を成形する際に用いられる工法です

切削加工

切削加工とは刃物やドリルを用いて素材を削ったり穴を開けたり溝を掘ったりして製品を形作る加工方法です。旋盤やフライス盤、マシニングセンタなどの工作機械が使われます。

上記の成形加工では対応できないような複雑形状も加工可能であることと、加工面の寸法精度が高いことが利点として挙げられます。一方で大量生産には向いていないことと、特に複雑形状の部品や製品を加工する場合はコストや納期がかかってしまう点がデメリットといえます。

【まとめ】エポキシ樹脂&ガラエポは優秀な部品素材で塗料

エポキシ樹脂、ガラスエポキシは一般的な樹脂素材と比較して電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性、耐水性・耐湿性、耐腐食性・耐候性、接着性、難燃性、強度が非常に高く、さまざまな用途に活用されています。

エポキシ樹脂、ガラスエポキシの加工なら株式会社フカサワにお任せください。弊社は創業80年以上のねじ、部品・パーツの総合商社です。多くの協力工場と連携し、既製品はもちろん、特注品の製作にも対応しております。ありとあらゆる樹脂、金属素材の加工に対応しており、特に成形加工と切削加工を得意としております。

設計から試作、加工、後加工、表面処理、二次加工、検品、納品まで一貫して対応し、さらには接合やアッセンブリまで可能です。複雑形状や大型の加工もお任せください。

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