金属加工の材料選びにお困りではないですか?悩まずに済むコツを徹底解説!

2022年03月10日(木)
2022年03月10日(木)

金属加工の材料選びにお困りではないですか?悩まずに済むコツを徹底解説!

金属は実にさまざまな種類があり、それぞれ特性が異なります。金属部品・パーツを作る際には材料選びが非常に重要です。

そこで今回は材料選びにお困りの方向けに、部品・パーツでよく使われる金属材料の基礎知識や各々の特徴についてご説明します。この記事の知識を押さえておくことで、適切な材料選びができるようになりますので、ぜひご覧ください。

金属材料は大きく二つに分かれている

鉄鋼金属と非鉄金属の違いそもそも金属は大きく「鉄鋼金属」と「非鉄金属」の2種類に分けられます。その名の通り鉄鋼金属とは鉄がベースとなっている金属のことで、非鉄金属は鉄が含まれていない金属のことを指します。まずはこうした区分があることを押さえていただければ幸いです。

鉄鋼金属

鉄鋼金属とは主に鉄と炭素をベースとした金属材料のことを指します。鉄は金属の中でももっともメジャーなものと言っても過言ではありません。しかし、純粋な鉄のままだと強度が低い、加工がしにくいなどの弱点があるため、炭素や他の金属を混合して材料として使います。

ちなみに、「」は鉄と炭素を組み合わせた合金です。私たちが「鉄」と呼んでいるもののほとんどはこの鋼のことを指します。

非鉄金属

非鉄金属は鉄以外の金属のことを指します。さらに、その中でも「軽金属(アルミニウム、マグネシウム、チタンなど)」「ベースメタル(銅、亜鉛、鉛など)」「レアメタル(ニッケル、クロム、タングステンなど)」「貴金属(金、銀、白金など)」という4種類に分類されます。

非鉄金属もそのまま使われることはほとんどなく、他の金属と混合して使われます。

鉄鋼金属の特徴について

鉄鋼金属の特徴について前述のとおり鉄(鉄鋼)は私たちにとって、もっとも身近な金属と言えます。強度や硬度などの機械的性質が高い、加工や熱処理がしやすい、コストが抑えられるというように、多くの利点があるのがその理由です。

一口に鉄鋼金属と言ってもさまざまな種類がありますが、特に代表的なものについて以下でご紹介します。

部品加工含め広い用途で使われる”SS400”

SS400はSS材(Steel Structure:一般構造用圧延板)の一種であり、鉄に0.15~0.2%の炭素が混合されています。「400」は引っ張り強さの下限値のことを指し、SS400の場合は400〜510MPaの引張強さ(1mm2の素材を引っ張ったときに400〜510MPaまで耐えられる)があります。名称に「板」とついているように、板状に加工されて流通しています。平板状になっているもののほか、棒状やH型、L型に加工された材料もあります。

非常に汎用性が高い、コストが安い、入手しやすいということで広く使われており、自動車や船舶、機械、建築など幅広い分野において活用されています。部品やパーツの金属材料を選定する場合、まずはSS400を候補に入れてみても良いかもしれません。それくらいメジャーな存在です。

ベアリングなどに特化した”SUJ”

SUJとは「Steel Use Journal:高炭素クロム軸受鋼鋼」のことです。その名の通り、炭素とクロムを1%ずつという高い割合で含んでいます。耐荷重、耐摩耗性や焼入れ性、耐腐食性が高く、負荷がかかる軸受(ベアリング。回転運動や往復運動をする部品に接して支持する部品)に使われる金属素材です。一般的な軸受に使われる「SUJ2」、マンガンが含まれていて大型部品にも活用できる「SUJ3」、モリブデンが含まれていて焼入れ性に優れ、高い耐摩耗性が実現できる「SUJ4」「SUJ5」の4種類があります。

機械的性質が非常に高いのですが、安価であるため、一般的な軸受の他にもボールベアリングやローラーベアリングにも使われ、さらにピンなどベアリング以外の耐摩耗性が要求される部品素材としても使われます。

非鉄金属の特徴

非鉄金属の特徴鉄以外の金属である非鉄金属は、鋼鉄金属以上にさまざまな種類があります。特性についても柔らかいものから鉄以上に硬いもの、熱を通しやすいものから通しにくいもの、安価なものから非常に高価なものまで、バラエティー豊かです。故に、とりわけ非鉄金属に関しては材料選びが難しい傾向にあります。

ここからは数ある非鉄金属の中でも代表的な金属を2種類見ていきましょう。

柔らかく加工性に優れている銅

まず非鉄金属の代表として挙げられるのはです。見た目が美しく10円玉や銅像の材料として使われます。また熱を通しやすいので鍋ややかん、エアコンの熱交換器の部品など、電気を通しやすいので銅線に使われるなど、用途は非常に幅広いです。非常に柔らかくて加工がしやすく、錆びにも強いため、扱いやすい非鉄金属です。

銅には銅100%の純銅の他に、酸素を含ませた銅合金があります。酸素をほとんど含まない純度が高い「無酸素銅」、熱伝導性と導電性に優れた「タフピッチ銅」、タフビッチに脱酸処理を行って耐熱性を向上させた「脱酸銅」の3種類です。

さらに、銅と亜鉛を混ぜ合わせて金に近い輝きをもつ「真鍮(黄銅)」、銅と錫を混合して被削性を向上させた「青銅」、銅とニッケルを混合して耐腐食性や耐海水性を向上させた「同ニッケル合金」などがあります。

紙のように薄くも複雑な形状にもしやすいアルミニウム

アルミニウムも代表的な非鉄金属です。軽量で加工がしやすい、強度や耐腐食性が高い、電気や熱を通しやすい、安価であることから、窓のサッシやホイールなどの自動車部品、機械部品など、さまざまな用途で使われます。

特筆すべきは加工のしやすさです。アルミホイルに代表されるように、紙のような薄さにもできます。複雑な加工もできるため、精密部品の材料として用いることも可能です。比重は鉄や銅の1/3程度なので、非常に軽く、製品の軽量化のために他の金属から置き換えられるケースもあります。

純アルミニウムはそれほど強度が高くないので、やはりマグネシウムやマンガン、銅、亜鉛などの他の金属と組み合わせた合金が使われることがほとんどです。また、表面を皮膜で覆うアルマイト処理を行うことで、耐腐食性をアップさせることができます。

用途を踏まえて素材を選ぼう

以上のように、金属にはさまざまな種類があり、それぞれ特性が異なります。部品やパーツの材料選びで重要なのは造りたいものを想定し、どのような性能が要求されるか?を洗い出すことです。

たとえば、耐久性や強度を重視するのであれば鉄鋼金属のほうが適しているでしょう。加工性や耐腐食性、軽さなどを重視するのであれば非鉄金属のほうが良いかもしれません。さらに非鉄金属でも電導性や熱伝導性を重視するなら銅、軽量化したいのならアルミというようにして材料を決めていきます。

それができるようになるためには、各々の金属の特性をしっかりと把握しておくことが大切です。

もっとも気になるコストを決めるポイントとは

もっとも気になるコストを決めるポイントとは材料選びで大切なのは「条件を満たしているか?」「要求している性質を有しているか?」ということですが、それと同じくらい大切なのはコストです。いくら条件に合っていたとしても、コストが高すぎれば使うことができません。

なるべくコストを抑えるのであれば、「変形度合」と「寸法精度」を意識して選ぶ必要があります。

変形度合

変形度合とは元の形状からどれくらい変形したか?ということを示す度合いです。たとえば、形状が複雑になればなるほど手間やコストがかかります。複雑形状の部品を造る場合は、やはり加工性が高い素材のほうがコストを抑えられる可能性があります。

また、加工方法によってもコストは変わってきます。比較的シンプルな形状で量産するのであれば鍛造が向いていますが、複雑な場合は材料を削ったりカットしたりする切削加工あるいは溶けた金属を型に流し込んで成形する鋳造のほうが向いていることもあります。

寸法精度

寸法精度(寸法の正確性)もコストに大きく関わってきます。やはり、寸法精度が高ければ高いほど、加工コストも高くなります。たとえば寸法公差±0.1mmの鍛造品があるとしたときに、それ以上精度を高めるのであれば研磨などの加工をしなければいけません。逆に精度がそれほど必要なければ、もっと安価に加工できる手段を検討する余地もあります。

金属加工業者の選び方

金属加工業者の選び方金属加工を外注する場合は業者選びが肝となります。取り扱える材料や対応している加工方法は千差万別。業者それぞれに得手不得手があり、加工コストも異なります。

「どんな材料に対応しているのか?」「どのような加工が、どれくらいの精度で可能なのか?」「コストはいくらか?」あるいは「信頼できる業者なのか?」「長くお付き合いできる業者なのか?」というように、さまざまな要素を検討する必要があります。

素材集めから完成まで一貫して対応してもらえるか

特にはじめて金属部品・パーツを外注するのであれば、材料選びから完成まで一貫して対応してくれる業者を選ばれることをおすすめします。ただ言われた物を造って納品するだけでは、その部品・パーツが本当に製品に適しているのか?コストが妥当なものなのか?がわかりません。最悪の場合、製品に不良が発生するリスクもあります。

材料選びや加工法を提案してくれる業者を選べば、製品の高品質化や生産性の向上、コストダウンなどの課題解決につながる可能性もあります。

業者選びのコツについて詳しく知りたい方は、「【部品の金属加工】間違えない依頼の仕方を徹底解説」にて詳しくご説明しておりますので、ぜひご覧ください。

それでもやっぱり素材選びから一度相談したいという方は

金属には鉄鋼金属と非鉄金属があり、さらにその中にもさまざまな種類があります。それぞれ特性も異なるので、用途や求める条件に合ったものを選ぶ必要があります。材料選びが製品の品質を左右すると言っても過言ではありません。

もし材料選びにご不安がありましたら、株式会社フカサワにご相談ください。弊社は創業75年以上部品・パーツ、ねじの総合商社として数多くのお客さまの生産現場をサポートしてまいりました。各種金属材料を取り扱い、幅広い加工に対応し、高品質な部品・パーツ、ねじを安定的に供給いたします。

もちろん、材料選びの段階からご提案させていただき、高品質化、生産性の向上、コスト削減などの経営課題の解決をお手伝いします。ぜひお気軽にご相談ください。

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